若者に人気、魅力は“コミュニケーション”?
版からゴム布などに転写した原版で印刷する「オフセット印刷」が昭和40年頃から勢力を得ていたが、最近では若い世代を中心に一文字づつの判を組み印刷する「活版印刷」が脚光を浴びています。
活版印刷の本来の職人の腕の見せ所は、へこまないように、ムラにならないようにするのが当たり前でした。しかし今ではキレイな印刷は当たり前の時代になりました。
若者たちはこの活版印刷にぬくもりを感じ、かすれた所や凹凸に新鮮さを感じるようです。これは、コミュニケーションなのだと活版印刷の社長やデザイナーは話しています。
引用元:https://dot.asahi.com/wa/2015012800095.html
「活版女子」じわり増加 活字が宿す伝えるチカラ
デジタルの時代だからこそなのか、今印字の手触りなど温かみを感じられる活版印刷のとりこになる女性たちが増えています。
大手IT企業に就職した後に、小さな印刷機に落ち着く自分に気づき、再び活版印刷の世界に戻ってきた女性デザイナーや、活版印刷を使ったレター用紙などを扱いながら、その職人さんの写真をとり続けているデザイナー。
本来ならばきれいに印刷するのが職人の腕でしたが、今のデザイナーさんは、逆にでこぼこした感じの印刷を好んでいます。大切なメッセージを1枚の紙に乗せて伝えるならば、デジタルの「どれも同じ」より、アナログで味のある印刷が強く残せるのではないでしょうか。
活版印刷注文殺到「にじみ明朝」も人気
画像:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/21/news069.html
今、年賀状を「活版印刷で」の注文が増えています。4.5年前から紙の質感を生かした活版印刷や箔押しなどの特殊印刷が人気なのは、パソコンで簡単にできるからこそ、付加価値を求めているからではないでしょうか。
また自宅で簡単に楽しめる「活版印刷キット」も人気だそうです。文字や絵をパソコンで作り、特殊な樹脂で型を取りプレス機に通すと名刺やメッセージカードが刷れるんですって。ネットで1万円位で買えるそうです。
2014年~発売されていて、デザイン会社や美術大学からの注文もあり、また大日本印刷ではその人気を意識して、「にじみ明朝」というフォントも作ったそうです。年賀状用データをホームページで無料提供も利用されています。
昔はなんでも「キレイに・完璧に」を目指していたものが、みんなが同じに印刷できてしまうと飽きてしまうのか、普通の印刷だけでは味気なく感じてしまいますね。最近では手書き風の印刷もあったりしますが、やはりアナログにはかないません。不完全な不器用な感じが温かさを感じさせてくれる。人間も同じなのかもしれないと感じました。
(キュレーター:rikako)