ピロリ菌って何者?

ピロリ菌って何者?

ピロリ菌の正式な名前は「ヘリコバクター・ピロリ」(Helicobacter pylori)です。ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌です。本体の長さは4ミクロン(4/1000㎜)で、2,3回、ゆるやかに右巻きにねじれています。一方の端には「べん毛」と呼ばれる細長い「しっぽ」(べん毛)が4~8本ついていて、くるくるまわしながら活発に動きまわることができます。

 

ピロリ菌の発見

 

100年ほど前から、胃の中にらせん形の細菌がいるという説が出ていましたが、胃の中は強い酸性だから細菌は生息できないという説が有力になっていましたが、 ピロリ菌はオーストラリアのロイヤル・パース病院のウォーレンとマーシャルという2人の医師によって発見されました。1984年7月、マーシャルは培養したこのらせん菌を飲み込んで、自分の胃に胃炎が起こるかどうかを調べました。

 

10日目に胃の組織を取って調べると、急性胃炎がおこっており、そこにはあのらせん菌が存在していました。 「ある細菌がある病気の原因である」4原則がみたされピロリ菌が胃炎を起こすことが証明されました。ピロリ菌が、胃酸の存在する胃のなかで生きていけるのは、ウレアーゼという酵素をたくさんもっており、この酵素が尿素からアンモニアを生成させ、アンモニアによって胃酸を中和させるからなのです。

 

名前の由来

「ヘリコバクター」の「ヘリコ」は「らせん形」を意味する「ヘリコイド」からきた言葉で、ヘリコプターの「ヘリコ」も同じ意味です。「バクター」は「細菌」を意味する「バクテリア」のことです。「ピロリ」とは、胃の出口のほうをさす「幽門」(ゆうもん)のことで、多くがそのあたりで見つかっていることに由来します。 つまり! ピロリ菌の名前は「幽門にいるらせん形の細菌」という意味なのです。

 

 

ヘリコバクター・ピロリとは

 

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感染の状況

国や地域で大きな差が認められますが、健康な人におけるピロリ菌の感染率は、年齢が増すとともに上昇することが明らかになっています。一般的に、衛生環境のよくない開発途上国は、若い年齢層から感染率が高く、年代別変化がほとんど認められません。日本の場合は、20歳までの若い人たちのピロリ菌の感染率は低く、20%以下の低い値を示しています。これに対して50歳以上の世代では、感染率が80%と極めて高い状態を示しています。

 

どんな病気と関係があるのか

日本では、十二指腸潰瘍の95%、胃潰瘍の90%以上がピロリ菌陽性です。萎縮性胃炎の原因の90%以上をピロリ菌が占めると考えられています。ピロリ菌の除菌により、胃・十二指腸潰瘍の再発が維持療法なしでも抑制されることが明らかになりました。保険が適応されていなかったため、除菌治療ができない時代が続いていましたが、2000年11月から、ようやく日本でも胃・十二指腸潰瘍に限って除菌治療を保険で行うことができるようになりました。

 

今、大きな注目を集めているのは、ピロリ菌感染と悪性腫瘍の関わりです。疫学的にはほぼ証明され、1994年に世界保健機関(WHO)は、ピロリ菌を確実な腫瘍物質に指定しています。なんと、動物にピロリ菌を長期感染させて、悪性腫瘍を発生させることに成功した報告が日本から発表されています。どの段階で除菌治療を行えば悪性腫瘍の発症を食い止められるのか研究が進んでいます。

 

検査と診断

ピロリ菌感染の診断法は、内視鏡検査を必要とするものと、しないものに分けることができます。内視鏡検査を必要とする診断法は、内視鏡を挿入し胃粘膜を観察しながら生検を用いて組織を得る方法です。内視鏡を必要としない検査法としては、血清抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析する尿素呼気試験などが行われています。この検査法は苦痛がなく、感度もよくなってきているので、最近盛んに行われるようになっています。

 

 

ピロリ菌の除菌

 

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除菌療法

ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑制する抗潰瘍薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)とアモキシシリン(合成ペニシリン系抗生剤)、クラリスロマイシン(マクロライド系抗生剤)の3者併用療法が日本で保険適応となっており、この三種類のお薬を一週間服用することで、約8割の方は除菌に成功すると報告されています。そして場合に応じて胃の粘膜を保護する薬剤を併用します。

 

除菌療法中に注意すること

  • 除菌療法を含むすべての治療が終了した後、4週間以上経過してからのピロリ菌を除菌できたかどうかの検査は必ず受けて、結果を確認しましょう。また、検査に抗体測定を用いる場合はすべての治療が終了した後、6ヵ月以上あけてください。
  • 除菌療法の間に気になる症状を感じた場合は、主治医または薬剤師に相談してください。
  • 二次除菌療法の間は、アルコールの摂取(飲酒)を避けてください。

 

 

 


 

現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはないと考えられています。また、大人になってからの日常生活や食生活ではピロリ菌の感染は起こらないと考えられます。ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われていますので、そのメカニズムから幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためだそうです。そのため最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われていますので、ピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要だそうです。除菌療法は保険適用なので医師に相談する事をお勧めします。

(キュレーター:remon)

 

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remon

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長女として育ったけれど我儘な部分が多い。 宇宙人的な性格と言われるが本人は、 いつも全力投球で生きてきた。 長く医療の場に身を置いてきたことで 人との心の触れ合いをモットーに 相手の心に寄り添いうということを学ぶ ことができた。 日常の暮らしの中から沢山の 学びがあるよに・・・ 面白いことを求めて走る超わがままな自由人 として、ホットな情報をお届けします。

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